サイコムブレインズ主催で、3月7日 に開催された第2回「ファシリテーション型リーダーに必要な5つの技術」でのモデレーターとの対談の一部を書き起こししました
司会:
ファシリテーション型リーダーシップを通してどんな組織づくりや、どんな組織の在り方を提案・実現したいと考えていますか?
桐谷:
2008年のリーマンショック以降、組織経営の成功法則の単発的なものがなかなか見出せませんでした。
さらにリーマンショックの後にコロナ禍によって人の働き方というものが大きく変わり、リモートワークが多くの会社で導入されました。
私はウェブ系の会社を経営していますが、コロナ禍を終えてIT系の会社では、コロナ禍前の毎日出社する体制に戻してくださいと言うと、優秀なメンバーからやめていくという現象が今起きています。
ところが、約2年前に求人広告においてYahoo!さんがまさに勝者の戦略をとられました。
地下鉄の中刷り広告に、「Yahoo!は飛行機通勤OKです」という求人広告を出されたのです。
これ、すごいなと私は思ったのですが、まさにこれって勝者の戦略なのです。
今IT業界では、自由な組織、組織の柔軟性があればあるほど優秀な人が入ってくるようになっていて、ただでさえYahooさんは優秀な人材が多いのですが、
さらに優秀な人材を獲得するチャンスを得たなとその広告を見て感じました。
今、どの業界においても、人手不足感が強く、日本も少子高齢化が現実化してきました。
優秀な人材が辞めない組織、そして横型で活気のある組織を作っていかないと、組織が存続できない時代に入ってきました。
付加価値を作っていくことが大事であると私は考えています。
キングコングの西野さんの組織の作り方が面白い。
横型のリーダーシップ組織を作っていて、オンラインサロンで成功し、映画製作までやっています
これからの組織は役割分担して横型に展開していく、そして付加価値を作っていくというやり方が理想的であると思います。
そして、私は「時間と空間を超える働き方」というのを提唱していますが、それを実践している会社が今成果を出していると感じています。
そのために、自由度の高い組織風土をいかに作っていくかというのが、人事戦略になっていきます。
司会:
コロナ禍を経て組織スタイルやリーダーシッップが変化しているということが、わかりました。
もう一つ、成功するリーダーの資質ということが、コロナ禍・リーマンショックを経て、この20年で何か変わってきたということを感じますか?またどのように変わってきているかも教えてください。
桐谷:
私は30年前に大阪で起業しました。その時は幸運にも大阪市内で所得ランキング1位と2位の経営者が私のクライアントになってくれたのです。
お二人に私はリーダーシップの哲学を教えてもらい、非常に薫陶を受けたのですが、二人ともめちゃくちゃボス型・縦型のリーダーシップでした。
声も大きく隣の部屋に私がいても、部下に対する指示が大きな声で聞こえてきました。やはり前に出るタイプで、自分で戦略を立て、タスクを部下に振り分け、タイムマネジメントをして、部下を飲みに連れていくという(=飲みにケーションをする)、昔の典型的な縦型のリーダーでした。
私は二人を見て、やっぱりリーダーはこうなんだとその当時、思いました。前に出て行くタイプのリーダーが成果を出すリーダーだと思ったのです。
ところが、この20年間で、社会が代わって、リーダーに必要な資質が変わったんだなと感じさせてもらったリーダーがいました。フリーマーケットのアプリを作られた、メルカリの山田進太郎さんです。
彼は、20代後半の時にウノウという会社で映画の批評サイトを運営されていました。
その時、食事させてもらう機会があったのですが、彼は前に押し出すタイプではなく、完全に横型の人でした。なのでメルカリが創業された時、こんなにもメルカリという会社が大きくなるとは思いませんでした。
メルカリでは月に1度全体会議を開いていて、最初の10分間はミッションとバリュー、ビジョン的なことを話されるのですが、通常そのようなことは社長が話しますが、メルカリでは山田さんが話さず小泉さんというNo.2がそれを語るのです。
メルカリでは完全に役割分担をしていて、横型の組織を作っているというのが特徴的です。
あと、クラウドファンディング大手のキャンプファイヤーを創られた家入さん。
家入さんも彼が20代の頃から交流がありますが、彼もどちらかというと内向的で企画力や発想が素晴らしい方で、横型のリーダーシップをとっています。
今成果を出しているこの2人のケースを見ても、リーダーの資質が代わってきたというのを感じています。
これからのリーダーはメンバーの資質を活用して、横型のチームを作っていくっていうタイプが成功する。
成果を出すリーダーの資質ではないかと私は感じています。